| ◆第8回桜文大賞 | |
| ●最優秀賞作品 | |
| 登丸 しのぶ(とまる しのぶ)さん 東京都 ―ニューヨークの友人へ― わかちゃん、お元気ですか? 日本は桜の季節を迎えました。セントラルパークの枝垂桜は、まだ咲いていませんか? マグノリアや大振りの街路樹に囲まれて、地味だけど力強く咲いている枝垂桜。わかちゃんみたいだなって思う。日本人にしても小柄なあなたの体が、ひとたび舞台に立つと、お人形みたいに手足の長い、ノッポな外国人よりも大きく見えた。そしてあなたは、世界中の舞台人が憧れるニューヨークで、ダンサーとして認められた。セントラルパークの枝垂桜が、しっかりと根を張っていったように。 私は早々と自分の才能に見切りをつけ、日本で違う道を歩んでいます。その選択は正しかったと思うけど、枝垂桜を見るたびに、少しだけ胸が痛みます。かつて、人生をかけて憧れた地で、成功しているあなたを思い出して。懐かしさと、ほんの少しの嫉妬を込めて、今日も枝垂桜に語りかけました。「会いたいね。でも、帰ってきちゃだめだよ。」 |
|