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◆第6回桜文大賞
●最優秀賞
桜の記憶
        佐々木美保/福島県

 「看護婦さーん、夜桜見さ連れてってけさい」と、しわくちゃに笑みを見せ夜中二時頃起きてくるおハナさん。杖をついての姿は今にも転びそうでハッとさせられましたよ。
「今日はね、夜桜のぼんぼり消えちゃったから明日にして寝ましょうね。」「つまんねなぁ」そんなやりとりがなつかしいですね。
 ある日、母を外出させたいと息子さんが訪ねて来ましたね。あなたはとてもうれしそうに、「誰だかわがんねげども花見に連れてってくれるって言うから行って来っかんね。」おハナさん、息子さんが困った顔で笑ってましたよ。「母は僕達子供の頃、休みのない仕事を終えた後に夜桜を見に連れて行ってくれたんです。その記憶だけでも継ながっていて欲しいんです。」
 桜の記憶を大事に残して、あなたの幸せそうな笑顔が今でも忘れられませんよ、おハナさん。

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